理事長 挨拶

理事長 前川宏一

 特定非営利活動法人道路の安全性向上協議会は、「道路交通の安全確保」と「道路インフラの老朽化対策」を二つの柱として、営利を目的とすることなく、これまで蓄積されてきた知見や経験、さらには体系化・言語化された技術情報を広く社会に還元し、自由闊達な活動を通じて公共の利益の増進に寄与することを目的として設立されました。

 第一の柱である道路交通の安全性の維持・向上は、人間の身体における血管や神経が生命活動を支えるように、社会・経済活動を支える道路ネットワークの健全性を確保するうえで不可欠な課題です。とりわけ人口減少社会を迎えた今日においては、道路管理者、道路利用者が安全意識を共有し、相互に協調しながら道路交通の安全確保に取り組むことが強く求められています。当法人は、行政の施策だけでは十分に行き届きにくい一般道路利用者や運輸・物流関係従事者を対象とした交通安全の啓発活動を積極的に推進し、交通事故の未然防止と安全文化の醸成を通じて、安心して暮らせる社会の実現に貢献してまいりたいと考えています。

 第二の柱である道路インフラの老朽化対策については、予算や人材の制約が年々深刻化する中、道路管理者のみの努力によって十分な維持管理を実現することが困難な状況となっています。特に、道路構造物のみならず、その基盤となる地盤や地下水環境を含めた総合的な維持管理を実践するためには、点検・診断・措置・記録から成るメンテナンスサイクルを着実に構築し、継続的に運用していくことが喫緊の課題です。しかしながら、その担い手となる知識と経験を備えた技術者は依然として不足しており、その育成は短期間で成し遂げられるものではありません。長年にわたる教育と実践、さらには維持管理の現場から蓄積される技術・知見・経験を次世代へ継承していく不断の努力が不可欠です。

 当法人は、このような社会的要請に応えるため、道路維持管理に携わる技術者および実務者を対象とした講演会、研修会、技術交流、情報発信などを積極的に実施し、維持管理技術の高度化と人材育成に取り組んでまいります。そして、将来にわたり安全で持続可能な道路インフラを次世代へ引き継ぐことを使命とし、広く社会に貢献することを目指して活動を推進してまいります。

前川宏一